任天堂を投資家目線で考える

株の話

 2023年9月15日終値で株価は6,338円、時価総額は約7.4兆円

 今回はゲーム好きとしてだけでなく、投資家と言う目線で任天堂を考えてみます。

※なお、以降に出てくる株価および時価総額は注釈が無い場合2023年9月15日終値をベースとして記載します。

 一般的に投資する上で重要な事が大きく分けて3つあります。

1.財務状況

 これを気にしない投資家は意外と多いですが本気で資産を増やす、もしくは資産を減らしたくない人は絶対に確認すべき項目です。

2.成長性(将来性)

 例えば世界的大企業のamazonは殆ど配当金を出していません。

 それでも株価が上がるのは配当金を出さない代わりに成長分野へ投資し、結果的に株主にとってもメリットが高いからです。

3.株主還元

 株主優待や配当利回りだけを見て投資する人が多々いますが、上記の二つがしっかりしていないとジリ貧になり、いずれ優待や配当自体がなくなる可能性があります。

 しっかりした株主還元は収益を上げてこそ、それを忘れてはいけません。

 それらを踏まえた上でゲーム好き、あるいは任天堂好きで投資するか迷っている人にいくつかのポイントを解説します。

任天堂(7974)

財務状況

 有名な話ではありますが、任天堂の内部留保はかなり潤沢です。

 現金及び現金同等物は2023年3月期で約1.2兆円、この額はスクエニ(5765億円)+セガサミー(6699億円)の時価総額とほぼ同等です。

 

 純資産全体では2.26兆円、自己資本比率79%(50%を割ると負債の方が多い企業)

 売上高は1.6兆円、純利益は4,327億円で利益率27%

 地域別では日本国内の売り上げ比率は22.8%で欧州全体と同じ比率、大きなウエイトを占めています。

 

成長性(将来性)

 財務状況が健全な任天堂ですが、ここ3年程は株価が伸びていません。

 将来性を見る為にネガティブな影響とポジティブな影響を比較してみましょう。

ネガティブな影響

コロナによる巣ごもり特需の終焉

 日本国内でも外出自粛要請によって『あつまれどうぶつの森』等が大ヒットしました。

 海外においては外出自粛などと言う生ぬるいものでは無く、都市封鎖で出歩くことすら禁止された国も多いです。

 さらに多くの国では給付金が配られた事によって生活に余裕のある人は娯楽へ資金が流れました。

 そういった特需が終わった今、ゲームは他の娯楽と勝負しなければならず簡単ではありません。

半導体不足による供給不安

 皆さんも良く耳にしたと思いますが、半導体不足によって世界中の電子機器が減産・生産停止と言った状況に追いやられました。

 原因はゼロコロナ政策を取った中国で工場が稼働しなかった事。

 仕事を失った出稼ぎ労働者はゼロコロナ解除後も半導体工場には戻らず、これによって工場の中国一極集中リスクが露呈し様々な分野で分散や自国回帰が行われるようになりました。

 任天堂においても需要を取りこぼしたことで売上は伸びず、減収減益が続いています。

ニンテンドースイッチのライフサイクル終盤

 ゲーム好きならまずコレを考えてしまうでしょう。

 どのハードでもそうですが、ライフサイクル終盤は新ハードを意識した買い控えが起きます。

 国内では有機ELバージョンの登場で(バージョンアップしてないにも関わらず)順調に売り上げが推移しているものの、海外では失速。

 2023度の予想ではソフト・ハード共にさらに15%程減り、純利益も20%減る見込みとなっている。

ポジティブな影響

 『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』や『ピクミン4』のヒットでソフト売上をけん引。

 さらに、任天堂の強みは毎年入ってくる新規顧客(子供)と安定した品質。安売りしない方針からソフトの価格が下がりにくく減価償却が終わったソフトでさえ高い収益を稼いでくれる所です。

 今期の前提為替レートを1ドル=130円としている為、1Qを終えた時点で進捗率40%。

 10月20日に発売される『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』、北米市場のホリデーシーズンを考えると前期並みの売り上げは十分期待できます。

 噂ベースでは次世代機の話がでて来ているものの、正式な発表は何一つ有りません。

株主還元

 任天堂は株主優待を設定ていない為、単元株を保有する意味は殆どありません。

 しかし、配当金に関する規定はかなりしっかりしており金額が予想しやすいのは投資家としてメリットになります。

 連結営業利益の33%を配当金総額の基準とし、期末時点で保有する自己株式数を差し引いた発行済株式数で除した金額の1円未満(株式分割前は10円未満)を切り上げた金額か、もしくは連結配当性向50%を基準として1円未満(株式分割前は10円未満)を切り上げた金額の、いずれか高い方を、1株当たり年間配当金として決定します。

 今期の予想配当金は1株当たり147円です。

 さらに、2022年10月に1:10の株式分割を行っている為、1株当たりの金額が1/10になっている。

 単元(100株)で買いやすくなったのはもちろん、単元未満(1~99)投資家にもアプローチできている為、優良企業は徐々に上がっていく傾向があります。

まとめ

 今すぐ買うべきとは断言できません。

 しかし、SBI証券や楽天証券では1株から購入手数料無料(10月より)で投資出来る為、少しずつ購入していくのは有りだと考えます。

 サプライズで新型が発表された場合、上でも下でも株価は大きく動くことが良そうされる為、投資のタイミングには注意が必要かもしれません。

 私個人としては、財務が健全で社員もユーザーも大切にしている任天堂は下がった時こそ買いのチャンスだと考えます。

 ピクミン4のDLC待ってます!

 参考資料 https://www.nintendo.co.jp/ir/events/index.html

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